社交

ざんねんな人間図鑑

緩急を渦巻く

一斉に音を立てて下界に飛び降りる無数の雨粒。緑色の水滴。焼却炉の煙が雲に混ざる。まっさらな雲にも黒煙にもなれないくせに。何でもない景色が風情となって、列を作って詩歌になる。移動中に歌を聞くと、味気ない空に合点がいって一人で充足できるから、音楽が好きです。音楽を愛する人になっていたい。
吐き気と真っ暗な世界の中でふと思い出します。楽しいことは楽しいだけでは終わってくれないこと。
やりたいことがたくさんある。
できないことがたくさんある。
笑いたい。
楽しいと叫びたい。
うたをつくりたい。
絵を描きたい。みんなの前で、上手でしょうと見せびらかしたい。発表会をしたい。そんな夢を見ている。
あなたがしたかったことはなんですか、と心の奥底のその子供に聞いてみる。わたしににている。わたしがなりたかった人ににている。
わからない、わからないけれど、褒められたかったんだよ、きっと。きみはそれだけだったんだろうな。
腐り切ってしまったわたしでごめんね。
あなたがなりたかったわたしになれなくてごめんね。
謝ってばかりで。
あなたがしたかったことは、なんですか。
未来のわたしが答えてくれたらいいな。